ウィルス

性感染症には様々な種類がありますが、日本で最も多いのがクラミジアです。クラミジアの最大の特徴は自覚症状が現れにくいことで、男性の場合は50~60%、女性の場合は約80%が無自覚だと言われています。そのため、クラミジアは気が付かないうちに重症化してしまうケースが少なくありません。

一般的に、クラミジアは女性の方が自覚症状が現れにくいのですが、未治療のまま時間経過するほど深刻な状態へと陥っていきます。女性がクラミジアに感染すると、2週間前後の潜伏期間を経て、子宮の入り口部分に炎症が発生する子宮頸管炎が引き起こされます。子宮頸管炎を生じると、おりものの量が増加したり、性行為時に軽い痛みや少量の出血が生じたりしますが、いずれの症状も軽度であることがほとんどです。

子宮頸管炎の段階で治療が行われない場合、子宮内部へと感染が拡大して子宮内膜炎や卵管炎を発症します。これらの炎症が生じると、子宮頸管炎の症状に加えて、下腹部の痛みなどが現れることがありますが、この段階でも無自覚であることが少なくありません。しかし、子宮内膜炎は流産や早産の原因となりますし、卵管炎は卵管が狭くなったり塞がったりすることで不妊症や子宮外妊娠の原因となります。さらに感染部位が拡大すると、不妊症や子宮外妊娠などのリスクがさらに高くなる子宮付属器炎や骨盤腹膜炎の発症につながり、最終的に腹腔内にまで感染が進むと肝周囲炎を発症します。肝周囲炎になると、上腹部に激しい痛みを感じるようになり、場合によっては救急搬送されるほどの痛みに襲われることもあるため、この段階になる前に治療を行うことが重要です。

一方、男性の場合はクラミジアに感染した初日~1週間程度経過すると、尿道のかゆみや排尿時の痛み、尿道から膿のような液体が出るといった尿道炎の症状が現れることがあります。女性に比べて症状に気が付きやすいものの、尿道炎の症状は軽度であることが多いため、放置してしまう人が少なくありません。しかし、尿道炎を放置していると、尿道の一番奥に存在する前立腺まで感染部位が拡大して前立腺炎が引き起こされます。前立腺は痛みを司る神経が少ない部位なので、痛みなどの自覚症状が現れないことも多いのが特徴です。さらに前立腺の奥へと感染が広がってしまうと、睾丸周辺の精巣上体(副睾丸)に行きついて、精巣上体炎を発症します。精巣上体炎は、精菅が塞がってしまうことで無精子症につながる恐れがあります。このように、クラミジアは自覚症状が現れにくいため放置されることが多い性感染症です。しかし、男女ともに未治療のまま時間が経過してしまうと、不妊症などのリスクが高まります。そのため、自覚症状がある場合はもちろん、感染が疑われる性行為をしてしまった場合は、必ず検査を受けて早期治療につなげることが重要です。